
【手袋を買いに】
新美南吉 先生の童話
「手袋を買いに」をモチーフに、ピンブローチをデザイン・製作いたしました。
キツネの親子の愛らしいお話です。
[あらすじ]
昨晩は雪が降り、森の中では子狐は雪遊びを楽しんでいました。
すると、小狐はお手々がちんちんすると言い、赤紫になった手をお母さん狐に差し出します。
お母さん狐は、その暖かい手で子狐の手を包み込んで暖めていました。
お母さん狐は、人間の街で子狐に毛糸の手袋を買おうとおもいましたが、人間との苦い経験から、どうしても足がすすみませんでした。
それで、なんとか子狐だけでお買い物に行かせることにします。
まず、お母さん狐は子狐の片方の手を握って人間の子供の手に化しました。
そして、お金を渡して子狐に教えます。
人間の住む街まで行ったら、シルクハットの帽子の看板の店を見つけ、戸をたたいて、こんばんはと言うのよ。
そして少し戸が開いたら、その隙間から、こっちの人間の手の方を差し入れて、手袋をちょうだいと言うのよと。
・・・
さっそく、子狐は街の明かりをめがけて森からおりていきました。
着いた人間の街では、子狐は教えられた通り、シルクハットの帽子の看板のお店を見つけます。
そして、トントンと戸を叩きました。
すると、戸が少し開いて中から眩しい光が溢れて、子狐はびっくりします。
子狐はすっかり慌ててしまい、狐の手の方を差し出してしまいます。
そしてそのまま、このお手々にちょうどいい手袋をちょうだいと言い、お金を渡します。
帽子屋さんは、子狐の手におやおやと思いましたが、棚から毛糸の手袋をとりだして手渡します。
子狐はお礼を言って、来た道を帰り始めました。
・・・
子狐は、狐の手を出したにもかかわらず、何も言わずに、手袋を渡してくれたことに人間の優しさを感じていました。
そして、近くの家の窓辺から人間の子守り唄が優しく響き、小さな子供の声もします。
子狐は急にお母さんが恋しくなりお母さんの待っている森へ跳んで帰りました。
[製作あとがき]
純粋な心を持った子狐と、帽子屋さんとのやりとりの様子を表現いたしました。
帽子屋さんの軒先には、シルクハットの看板を描き、お店の中ではおじいちゃんを優しい雰囲気になるように描きました。
一方、子狐は上体が伸びた姿勢で、やや緊張気味な感じを表現いたしました。
このあと、子狐は頑張って一人でお買い物できたことと、人の優しさに安堵することになります。
雪だるまのようなものは、おまけで私の遊び心です。