セロ弾きのゴーシュのブローチを一点一点追加製作しています。糸鋸作業は細かな絵柄を切り出していくので結構大変ですが、巨大虫めがねを通して作業しています。そして可愛い動物たちがカタチになると、心がほころんでいます。
[セロ弾きのゴーシュ あらすじ]
ゴーシュは活動写真館のセロ弾きでしたが、調子が合わず、楽団長にも仲間にも笑われていました。家に帰ると、悔しさを抱えたまま毎晩遅くまで練習を続けていました。
ある夜、三毛猫がトマトを抱えてやって来ます。
「先生、そんなにお怒りではおからだにさわりますよ。トロメライを弾いてごらんなさい。」
むしゃくしゃしていたゴーシュは怒鳴りました。
「おれの畑からむしったな。どこかへ行け!」
しかし猫はにやにやしながら、「聴いてあげますから」と言って動きません。
腹に据えかねたゴーシュは、わざと「インドの虎狩」を怒った象のような勢いで弾きました。
猫はしばらく首をかしげて聴いていましたが、ついに額から火花を散らし、「先生、もうたくさんです」と言って逃げていきました。
次の夜、天井の穴からカッコウが降りてきます。
「どうかドレミファを教えてください。わたしはついて歌います。」
ゴーシュが弾くと、カッコウは「カッコウ」と歌いますが音が合いません。
「何をしてるんだ!」とゴーシュが怒鳴ると、カッコウは驚いて飛び去りました。
しかし後で、音が合っていなかったのは自分の方だったと気づきます。
さらに別の夜には狸の子が入ってきて、「『愉快な馬車屋』を弾いて」とせがみます。
ゴーシュが弾くと、狸の子は棒で駒の下をぽんぽん叩き、楽しそうにリズムをとりました。
曲が終わると狸の子は首をかしげ、「二番目の弦が遅れるよ。ぼく、つまずきそうになる」と言います。
ゴーシュははっとし、朝までその弦を練習しました。
次の晩は野ねずみが子どもを連れてきます。
「先生、この子の病気を治してください。」
「おれは医者じゃない!」とゴーシュは怒りますが、母ねずみは言います。
「先生のセロは、床下にいるとゴウゴウ響いて、みんなの病気を治してくださるんです。」
ゴーシュは子ねずみをセロの孔に入れ、力いっぱいラプソディを弾きました。
すると子ねずみは震えながらも元気になり、母ねずみは深く礼を言いました。
六日目の夜、公会堂の演奏会でアンコールが起こり、楽団長が言います。
「ゴーシュ君、何か一つ弾いてくれ。」
ゴーシュは「ばかにするな」と思いながらも舞台に立ち、あの猫の夜のように「インドの虎狩り」を力強く弾きました。
聴衆は息をのんで聴き入り、演奏後、楽団長は言いました。
「見違えるようだ。十日前とはまるで別人だ。」
その晩、ゴーシュは家の窓を開け、カッコウの飛んでいった空を静かに眺めました。
